セルゲル法の有効性:ポーランドの報告
セルゲル法はヨーロッパをはじめ、世界の様々な国で導入されている腰痛治療法です。
その安全性や有効性は数多くの論文で報告されています。
今回は、ポーランドの医師が報告している論文を元に、セルゲル法(ディスコゲル)の有効性に関して解説します。
ポーランド医師の研究
2017年10月~2019年8月の間でディスコゲルによる治療を受けた67名の患者が研究に参加しました。患者の年齢は20歳~68歳でした。
この研究に参加した患者は、椎間板ヘルニアと診断されており、腰痛、下肢痛(坐骨神経痛)で悩んでおり、ディスコゲル治療を受けるようになりました。
治療前と治療後は、腰痛と下肢痛の自覚症状、内服の有無が確認されました。治療後のフォロー期間は、⑴治療4~8週間後、⑵12~24週間後、⑶24~36週間後、⑷36~52週間後でした。

研究結果
治療後は副作用がありませんでした。治療後に、リハビリを受ける患者もいませんでした。
ほとんどの患者は軽作業や重労働の仕事をしていますが、約1ヶ月で仕事復帰できました。
治療前と治療後のMRI画像の比較も行われました。

患者が訴える主な症状で、67名は腰痛グループと下肢痛グループに分けられて、症状の変化が確認されました。治療前後の自覚症状はCore Outcome Measures Index(COMI)とVisual Analog Scale(VAS)を用いて評価されました。
*Core Outcome Measures Index(COMI)とは、腰椎疾患・頸椎疾患に対して、疼痛、機能障害、支障度、生活の質(QOL)、治療の効用、術後の満足度や改善度を把握できるツールです。西欧諸国で使われています。
*Visual Analog Scale(VAS)とは、患者が感じる痛みの強さを指し示すスケールです。紙の上に10cmの線を引いて、左端に0(=全く痛みなし)、右端に100(=想像できる最大の痛み)と書いて、患者に、現在の痛みが0〜100の間のどのあたりになるのかを指し示してもらうことにより、痛みを評価します。
腰痛グループの治療結果
治療前のCOMIの平均数値が6.40でしたが、治療1年後には2.20となり、約66%下がってきました。治療前のVASの平均数値が6.33で、治療1年後は2.97であり、約53%下がりました。
治療前は多くの患者が痛み止めを服用していましたが、治療6ヶ月後は74%の患者が鎮痛薬なしで過ごせることになりました。
下肢痛グループの治療結果
治療前のCOMIの平均数値が7.05でしたが、治療1年後には3.68となり、約48%下がってきました。治療前のVASの平均数値が6.77で、治療1年後は3.13であり、約54%下がりました。
このグループの患者(81%)も、治療前に必要だった痛み止めを服用しなくなりました。

結論
この研究に参加した患者全員は外科的手術が適応でしたが、より低侵襲で、リスクの少ないセルゲル法(ディスコゲル)を選びました。疼痛の軽減も早く、多くの患者に見られました。セルゲル法(ディスコゲル)は腰痛・下肢痛を改善するために有効な治療だと確認できています。
セルゲル法(ディスコゲル)の主なメリットとしては、以下が挙げられています。
・局所麻酔下で行われる日帰り可能な治療
・比較的安価な治療方法
・施術が簡単で短時間で終了
・他の椎間板治療(PRP療法、骨髄濃縮液療法、オゾン療法など)と比較して、感染症のリスクが少ない
・全身麻酔下で行われる治療と比較して、合併症のリスクが少ない
参考論文
Kajetan Latka, et al. Efficacy of DiscoGel in Treatment of Degenerative Disc Disease: A Prospective 1-Year Observation of 67 Patients. Brain Sciences 2021, 11,1434