背景:放射線不透過性ゲル化エタノール(DiscoGel, Gelscom SAS, France)は、化学的髄核融解の物質として椎間板ヘルニアの治療に使用されており、合併症もなく良好な結果を示している。また、頚椎椎間板ヘルニアの治療にも使用されており、この物質の潜在的有効性が示されている。
目的:本研究の目的は、頸椎椎間板ヘルニアと慢性頚部痛を有する患者の治療におけるDiscoGelの長期的有効性と安全性を調査することである。
研究デザイン:本研究は横断的で単施設で行われるものである。
設定:本研究は、2013年11月から2016年5月にかけて、サカリヤ大学研修研究病院のペインクリニックを受診した患者を対象に実施された。
方法:各患者は、治療前と治療の1か月後、3か月後、6ヵ月後、12ヵ月後に、visual analog scale(VAS)を使用して疼痛を評価し、Oswestry Disability Indexを使用して障害の程度を評価して、疼痛のある患者に対してはQOLも評価した。これは神経障害性疼痛質問票(DN4)の数値と一致する。
結果:頸椎椎間板ヘルニアのある33名の患者が2013年11月から2016年5月の間にDiscoGelによる治療を受けた。治療前の疼痛と比べれば、各患者は治療1か月後、3か月後、6ヵ月後、12ヵ月後に有意な疼痛緩和が自己評価にて認められた(P = 0.01)。VAS、ODI、DN4の1か月後、3か月後、6ヵ月後、12ヵ月後の数値の差は、同じ変数で統計学的に有意ではなかった。治療後の合併症はなかった。
限界:本研究はレトロスペクティブに行われたため、長期追跡調査のデータに問題があった。また、この研究は少数の患者を対象に行われた。
結論:放射線不透過性ゲル化エタノールは、頸部に疼痛のある患者にとって、手術に代わる可能性のある治療法である。しかし、この施術の有効性を評価するためには、放射線不透過性ゲル化エタノールを用いた、より長い追跡調査を行うより多くの研究が必要であると考えている。