セルゲル法の効果と合併症発症率:イタリアの報告
セルゲル法はヨーロッパをはじめ、世界の多くの国で導入されている腰痛治療法です。
その安全性や有効性は数多くの論文で報告されています。
今回は、イタリアの医師が報告している論文を元に、セルゲル法(ディスコゲル)の効果と合併症発症率に関して解説します。
イタリア医師の研究
2012年1月~2015年12月の間でディスコゲルによる治療を受けた94名の患者が研究に参加しました。患者の年齢は27歳~79歳でした。
この研究に参加した患者は、椎間板ヘルニアと診断されており、腰痛、下肢痛で悩んでおり、ディスコゲル治療を受けるようになりました。
治療後のフォロー期間は、治療1ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、48ヶ月後、60ヶ月後でした。

研究結果
治療前後の自覚症状はVisual Analog Scale(VAS)を用いて評価されました。
*Visual Analog Scale(VAS)とは、患者が感じる痛みの強さを指し示すスケールです。紙の上に10cmの線を引いて、左端に0(=全く痛みなし)、右端に100(=想像できる最大の痛み)と書いて、患者に、現在の痛みが0〜100の間のどのあたりになるのかを指し示してもらうことにより、痛みを評価します。
治療前のVASの平均数値は8.4で、治療1ヶ月後は2.8であり、大きな改善が見られました。

94名中77名(81.9%)は良好な結果が認められて、治療に満足していました。また、最後のフォロー期間(治療60ヶ月後)は、92.5%の患者(94名中87名)が治療に満足していると答えました。
副作用
1例(1.06%)は、軽度の一過性感覚運動障害が観察されました。これは局所麻酔薬が針に沿って拡散したためと考えられ、8時間以内に消失してきました。
治療直後は、急性の下肢痛の発症が1例(1.06%)にみられました。ステロイド治療を5日間行い、完全に治りました。
アレルギー症状や椎間板炎は認められませんでした。
結論
この研究に参加した患者全員は、腰痛や下肢痛で悩んでおり、軽度または中等度の椎間板ヘルニアと診断されて、セルゲル法(ディスコゲル)を受けました。
多くの患者は症状の改善が認められ、治療に満足しています。
セルゲル法(ディスコゲル)は腰痛・下肢痛を改善するために有効な治療だと確認できています。
参考論文
Domenico La Torre, et al. Percutaneous intradiscal injection of radiopaque gelified ethanol: short and long-term functional outcome and complication rate in a consecutive series of patients with lumbar disc herniation. British Journal of Pain. Vol 15(2), 2021.